ECサイトの売上が上がらない中小メーカーに共通する原因と対策【5ステップ】
「ECサイトを作ったのに、月商が10万〜30万円あたりで止まっている」——こうした状況に悩む中小メーカーの経営者は少なくありません。商品の品質には自信がある。サイトも一応ある。なのに売上が動かない。その原因を「広告費が足りない」「担当者がいない」と考える方は多いのですが、それだけが理由ではないケースが多くあります。ECサイトの売上が上がらない・売れない理由の多くは、個別の施策ではなく、ECを事業として動かす設計がないことにあります。本記事では、原因・放置した場合のリスク・商品ページの直し方・改善の5ステップを、経営判断に必要な視点から解説します。
こんな方におすすめの記事です
- ECサイトはあるが月商が10〜30万円で止まっている
- 制作会社に依頼したが納品後に何も変わっていない
- 社長や事務スタッフがEC業務を兼務している状態が続いている
- 広告やSNSに手をつけていないが何からやればいいか分からない
- 卸・実店舗が主力だがECをそろそろ本気で考えたい
この記事でわかること
- ECの月商が30万円前後で止まる理由
- 「ECサイトがある」と「EC事業がある」の違い
- ECサイトが売れない4つの原因と、商品ページの直し方
- 放置したときに起きる卸・実店舗依存のリスク
- 月商の停滞を抜け出すための5ステップ
EC月商の停滞は、施策ではなく設計の問題
集客・接客・リピートの三つの構造を意図的に設計し、担当者がいなくても動き続ける仕組みに落とし込むことが、停滞を抜け出すための解決策です。施策を追加する前に、EC事業としての設計が存在しているかを確認することが最初の経営判断です。中小メーカー・中小企業のEC構築全体については、こちらも参考にしてください。
あわせて読みたい中小メーカーのECサイト構築ガイド|始め方・選び方・構築の流れと売上の育て方自社ブランドを持つ中小メーカーが、ECサイトを作って売上を育てるまでの手順を解説します。始める前に決める5つのこと、プラットフォームの選び方…
- EC事業には集客・接客・リピートの3構造が必要になる
- 設計のないECは受動的な流入だけが売上になる
- 施策を追加する前に事業設計の有無を確認する
- 担当者がいなくても動く仕組みを最初に設計する
- 正しい順序で一つずつ積み上げることが重要になる
EC月商が30万円前後で止まるとはどういう状態か
ここで言う「月商30万円前後で止まる状態」とは、ECサイトを持つ中小メーカーによく見られる、売上が10万〜30万円の範囲で長く止まる状態です。偶然ではなく、EC事業の設計が機能していない会社によく現れます。広告も打たず・SNSも動かさず・顧客リストも育てていない状態では、知人・既存客・偶然の検索流入だけが売上を作っています。その自然な流入だけで届く売上が、おおよそ月商30万円前後にとどまりやすいのです。
なぜ「30万円」前後で止まりやすいのか
月商30万円という数字は、ECサイトを「持っているだけ」の状態で期待できる自然流入の上限に近い値です。既存顧客が年に1〜2回購入し、展示会や実店舗で接点を持った人がサイトを訪れる——この受動的な流入だけで生まれる売上が、おおよそこの水準にとどまりやすいのです。月商30万円を超えるためには、意図的に新規客を呼び込む仕組み・リピートを促す仕組み・ブランドを継続的に発信する仕組みが必要になります。これらは「運営」ではなく「設計」の話であり、施策単体の話ではありません。
- 受動的な流入だけでは月商30万円前後で止まりやすい
- 既存客・偶然流入だけでは新規購入者は増えない
- 広告・SEO・SNSのどれかが機能しないと新規流入はゼロに近い
- 停滞を抜け出すには施策より事業設計の見直しが必要になる
- 月商100万円を目指すには仕組みの構築が前提条件になる
「EC事業がある会社」と「ECサイトがある会社」の本質的な差
多くの中小メーカーは「ECサイトがある」状態にあります。しかし「EC事業がある」状態とは大きく異なります。ECサイトがある会社は制作費を払ってサイトを完成させ商品を登録して終わりにしています。EC事業がある会社は、誰にどうやって届けるかを設計し、集客・接客・リピートの流れを意図的に作っています。顧客データを取り・改善を継続し・担当者または仕組みが動き続けています。この差は予算の差ではなく、「ECを事業として設計しているかどうか」という経営判断の差です。詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
あわせて読みたいECサイトとEC事業の違い|「作っただけ」で売れない中小メーカーが越える5つの分かれ目ECサイトを作っただけで売上が伸びない中小メーカーへ。売れるかどうかは「ECサイトの有無」ではなく「EC事業としての構造」の差にあります。サ…
- ECサイトがある会社は制作で終わり運営の設計がない
- EC事業がある会社は集客・接客・リピートの流れを持っている
- 顧客データを取れているかどうかが最大の分岐点になる
- EC事業は作った後の継続設計がなければ機能しない
- この差は予算ではなく経営判断の違いから生まれている
ECサイトの売上が上がらない4つの原因:根本は「EC事業設計の不在」
EC月商が30万円前後で止まる根本原因は、一言で言えば「EC事業の設計が存在しないこと」です。ECサイトは制作会社が作ってくれます。しかし誰にどう届けるか・どうリピートさせるか・どう顧客データを活用するかといった「事業設計」は、制作会社の仕事ではありません。発注した側がやるものですが、担当者がいない・時間がない・やり方が分からないという理由で、そこが空白のままになっているのが実態です。この空白が、具体的には次の4つの原因として現れます。
制作で終わっている:サイトは完成したが事業は始まっていない
中小メーカーのEC投資の典型パターンは、制作会社に150万〜300万円を支払いサイトが完成した時点で「EC事業が始まった」と認識してしまうことです。しかし実際には、サイトの完成はスタートラインにすぎません。完成後に集客施策を何も動かさなければ誰もサイトに来ません。来ても買わなければ売上にならない。買っても再購入を促さなければリピーターが生まれない。制作会社は「作る」ことのプロであり「売る設計を作る」ことは通常業務の外にあります。この認識のズレが、制作後の放置状態を生み出しています。
- 制作費150〜300万円を使ってもサイト完成後に売上は動かない
- 制作会社は作ることのプロであり運用設計は担当外になる
- 完成後に何も動かさなければ流入はほぼゼロのままになる
- サイトの完成はEC事業のゴールではなくスタートにすぎない
- 制作後の運用設計がないことが最初の構造ミスになっている
集客が存在しない:広告ゼロ・SNS停止・SEOなしの三重構造
EC月商が伸びない会社の集客状況を確認すると、広告はほぼゼロ・SNSは更新停止・SEO対策はなし、という三重構造になっていることがよくあります。この状態では新規顧客がサイトにたどり着く経路が存在しません。「広告費をかけたくない」という経営判断は理解できますが、広告・SNS・SEOのどれか一つも機能していなければ新規流入はほぼゼロが続きます。集客設計のないECは、看板のない店舗と同じです。
- 広告ゼロ・SNS停止・SEOなしでは新規流入の経路がない
- 既存客と偶然の検索だけでは月商の上限が低くなる
- 集客施策が1つも動いていない状態は構造的に危険になる
- SNSは更新停止した時点でブランド信頼性にも影響が出る
- 集客設計のないECは開店休業状態と変わらない
商品ページで価値が伝わっていない:接客の代わりができていない
ECでは店員や営業が説明できないため、商品ページが接客の代わりになります。それにもかかわらず、商品名・価格・数行の説明だけで掲載され、選ぶための情報が足りないケースが多くあります。特に実店舗や卸が中心の会社は、商品の価値を対面で説明する前提があるため、ページで伝える設計になりにくい傾向があります。
素材・使い方・選ばれる理由・他の商品との違い・購入後のイメージが足りないと、アクセスがあっても購入に至りません。ここが弱いままでは、広告やSEOで人を集めても売上は伸びにくくなります。直し方は、このあとの「売れない商品ページを直す具体例」で紹介します。
- 商品ページは店員や営業の説明の代わりになる
- 商品名・価格・数行の説明だけでは選ぶ材料が足りない
- 他の商品との違いや使う場面が伝わっていない
- ここが弱いと集客を増やしても売上は伸びにくい
顧客データが蓄積されない:売り切りで終わる販売構造の問題
EC事業設計において、顧客データの蓄積は最も重要な資産の一つです。しかし多くの中小メーカーのECは、購入された後に顧客との接点が完全に切れます。メールマガジンもなく・LINEもなく・購入履歴を活用したリコメンドもない。リピーターが生まれない構造のまま新規客を追い続けるのは、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。新規顧客を獲得するコストはリピーター維持コストの5〜7倍かかると言われています。顧客データを取れない設計のままでは、EC売上は不安定なままです。
- 購入後に顧客との接点が切れるとリピーターが生まれない
- メルマガやLINEがないと再購入を促す手段がなくなる
- 新規獲得コストはリピーター維持の5〜7倍かかるとされている
- 顧客データがないと改善の根拠になる数字が取れない
- 売り切り型の構造のままではEC売上は安定しない
放置するとどうなるか:卸・実店舗依存が加速する経営リスク
「ECは売れないから後回しでいい」という判断は、短期的には合理的に見えます。しかしEC事業設計を放置したまま時間が経つと、卸・実店舗依存の構造がより固定化され、外部環境の変化に対してますます脆弱になります。卸の交渉力が落ちる・展示会の成果が減る・競合がECを伸ばしてブランド格差が広がる。こうした変化が重なったとき、逃げ場のない状態に追い込まれます。ECは「攻め」のツールである以上に、「守り」の販路でもあります。
卸の取引量が減ったとき逃げ場がない
卸依存型のビジネスモデルには、販路の集中リスクが内在しています。取引先の卸業者や小売チェーンが仕入れを減らした場合、売上は一気に落ちます。展示会での新規取引先獲得が年々難しくなっていると感じている経営者は多く、卸の利益率も年々低下傾向にあります。こうした環境下でEC売上がゼロに近い状態は、突発的な売上減少に対してノーガードで立っているのと変わりません。自社EC経由の売上が月商の10〜30%を占めていれば、卸が減った際のバッファになります。ECはリスク分散の経営インフラです。
- 卸依存は販路集中リスクであり突発的な売上減に弱くなる
- 展示会での新規取引先獲得は年々難易度が上がっている
- 卸利益率は価格交渉によって継続的に圧迫される傾向がある
- EC売上が10〜30%あれば卸減少時のバッファになる
- ECはリスク分散の経営インフラとして機能する側面がある
競合がECを伸ばし始めるとブランド格差が広がる
同じカテゴリーの競合メーカーがEC売上を伸ばし始めると、検索結果やSNSでの露出量に大きな差が生まれます。消費者が商品を検索したときに競合が先にヒットし、丁寧なコンテンツで商品の価値を伝えていれば、比較される前に購買意欲が完成してしまいます。ブランドの認知・信頼・ファン化は短期間で逆転できるものではありません。EC上でのブランド資産は時間をかけて積み上げるものであり、今動かない分だけ後から取り戻すコストは大きくなります。
- 競合のEC強化は検索露出の差としてすぐに数字に現れる
- ブランド認知の差は短期間で逆転できるものではない
- EC上のコンテンツ資産は時間をかけて蓄積されるものになる
- 今動かない1年は将来の取り戻しコストになる
- 消費者が比較検討を始める前にブランドを見せる必要がある
EC売上が30%を超えると経営構造はどう変わるか
EC売上比率が30%を超えた会社では、経営上の自由度が大きく変化します。まず卸交渉での価格交渉力が上がります。「卸に頼らなくても売れる」という事実が、バイヤーとの交渉テーブルで意味を持ちます。次に顧客データが蓄積されることで、新商品の開発に市場の声を反映できるようになります。さらに自社ECは卸より利益率が高くなることが多く、売上規模が同じでも手元に残る利益が変わります。EC売上30%は「売上の分散」ではなく「経営の自由度を取り戻すライン」と理解すると、その重要性が明確になります。
- EC比率30%は卸交渉において価格交渉力を生み出す
- 自社ECは卸販売より利益率が高くなりやすい
- 顧客データが商品開発のフィードバックとして使えるようになる
- EC比率30%は経営の自由度を取り戻す重要なラインになる
- 売上分散ではなく経営インフラの強化として捉えることが重要だ
解決の方向性:「サイトの改善」ではなく「EC事業の再設計」
EC月商の停滞を抜け出すために必要なのは、サイトのデザインを変えることでも、Shopifyのアプリを追加することでもありません。必要なのは、EC事業の設計を最初からやり直すことです。集客はどこから取るのか・接客はどうデザインするのか・リピートはどう促すのかを意図的に設計し、担当者がいなくても動き続ける仕組みに落とし込む——これが「EC事業の再設計」の本質です。
EC事業設計に必要な3つの構造
EC事業を機能させるためには、集客・接客・リピートという三つの構造が揃っている必要があります。集客とは誰がどうやってサイトにたどり着くかの設計です。接客とは訪れた人に商品の価値をどう伝えるかの設計であり、商品ページ・LP・特集コンテンツが担います。リピートとは一度買った人を再び呼び戻す仕組みであり、メールマガジン・LINE・購入後の顧客育成が該当します。この三つのどれかが欠けると売上は安定しません。多くの中小メーカーはこのうちすべてが空白の状態からスタートしており、一つずつ設計していくことが現実的な進め方です。
- EC事業には集客・接客・リピートの3構造が必ず必要になる
- 集客はどの経路で誰をサイトに呼ぶかの意図的な設計になる
- 接客は商品価値を伝えるLPや特集ページの設計を指している
- リピートはメルマガやLINEで既存顧客を再活性化する仕組みだ
- 3つのうち1つでも欠けると売上は不安定なままになる
専任担当なしでも回る仕組みをどう作るか
「EC担当者がいない」という課題は多くの中小メーカーが抱えています。しかし専任担当者がいないことは、EC事業を諦める理由にはなりません。投稿スケジュールを月次で設計するSNS運用フロー・購入後に自動送信されるステップメール・定期的に数字を確認する月次レポートの仕組みなどを最初に設計・構築しておけば、担当者が兼務であっても一定の運用が継続できます。「誰がやるか」より「どう仕組みにするか」を先に考えることが、中小企業のEC成功の鍵になります。
- 専任担当がいないことはEC設計を諦める理由にはならない
- 人に依存しない仕組みを最初に設計することが重要になる
- SNSは月次の投稿スケジュールを設計すれば継続しやすくなる
- 購入後のステップメールは自動化すれば担当者不在でも動く
- 月次の数字確認フローを作れば改善サイクルが回り始める
外部の支援を使うときに確かめたいこと
自社だけで仕組みを作るのが難しい場合は、外部の支援を使う方法もあります。そのときは、サイトを作るところまでなのか、公開後の運用・改善まで一緒に見てくれるのかを確かめてください。制作だけを依頼すると、納品後の運用は自社で行うことになり、同じ停滞を繰り返しやすくなります。
費用は、一括の制作費か月額かといった払い方だけで比べないことが大切です。公開後に何を一緒に確認し、何を改善してくれるのかという支援の範囲で比べると、判断を誤りにくくなります。
- 制作だけか、公開後の運用・改善まで含むかを確かめる
- 納品後に自社でやることを事前に書き出しておく
- 費用は払い方ではなく、含まれる支援の範囲で比べる
- 毎月何を一緒に確認してくれるかを確かめる
EC月商の停滞を抜け出す5ステップ
EC事業の再設計は、一度に全部やろうとすると頓挫します。重要なのは正しい順序で一つずつ積み上げることです。以下の5ステップは、リソースが限られた中小メーカーが無理なくEC事業を立ち上げ・拡大するための実行順序として設計されています。ステップ1から順番に取り組むことで、EC事業の土台を確実に作ることができます。
ステップ1 現状のEC構造を数字で診断する
最初にやるべきことは、現状のEC構造を数字で把握することです。確認すべき数字は、月間訪問者数・購入転換率(CVR)・客単価・リピート率の四つです。例えば月商20万円で平均客単価が2,000円であれば月100件の購入があります。月間訪問者が1,000人ならCVRは10%です。この数字が分かると「集客が足りないのか」「CVRが低いのか」「リピートが少ないのか」のどこに問題があるかが明確になります。診断なき改善は的外れな施策を生みます。
- 月間訪問者数・CVR・客単価・リピート率の4つを確認する
- 数字を見ることで問題の所在が集客なのか接客なのかが分かる
- 診断なき改善は的外れな施策投資につながりやすい
- Googleアナリティクスとカートのレポートをセットでみる
- 現状把握がすべての改善施策の根拠になる
ステップ2 EC事業の目標売上構成を設計する
診断が終わったら次は目標を設計します。「EC月商を100万円にする」という目標だけでは不十分です。「現状:実店舗60%・卸30%・EC10%」を「3年後:実店舗30%・卸40%・EC30%」に移行するというように、売上構成の目標を持つことが重要です。この目標から逆算することで、毎月どれだけ新規顧客を獲得し・どれだけリピーターを育てる必要があるかが具体的になります。
- 売上構成の目標を実店舗・卸・ECの比率で設定する
- EC月商100万円は年商ベースで1,200万円のEC売上を意味する
- 目標から逆算することで毎月の獲得数とリピート数が分かる
- 売上構成の変化を3年単位でロードマップとして描く
- 数字の目標があることで改善施策の優先順位がつけやすくなる
ステップ3 集客の起点を1つ決めて動かす
目標が決まったら集客施策を一つ選んで動かします。広告・SNS・SEOの三つから、自社の商品特性と担当者の状況に合わせて一つを選びます。食品や雑貨など視覚で伝わりやすい商品はInstagramやPinterestが向いています。比較検討型の商品はSEOが有効です。即効性を求めるならGoogle ショッピング広告が現実的です。重要なのは三つを同時に始めないことです。一つを3ヶ月間集中して動かし、数字が出始めてから次の施策に展開するのが現実的な進め方です。
- 広告・SNS・SEOの3つから商品特性に合わせて1つを選ぶ
- 視覚訴求型商品はInstagramが相性のいい集客起点になる
- 比較検討型の商品はSEOコンテンツが中長期的に効果を出す
- 即効性が必要な場合はGoogle ショッピング広告が現実的だ
- 3つを同時に始めるとリソースが分散して成果が出にくくなる
ステップ4 顧客データを取れる仕組みをカートに組み込む
集客が動き始めたら並行して顧客データを取れる仕組みをカートシステムに組み込みます。購入時のメールアドレス収集と購入後のステップメール設定が最小限の実装です。ShopifyやBASEにはメール自動送信機能が標準搭載されています。購入から3日後・7日後・30日後に送るステップメールの文面を設計し自動送信に設定するだけで、リピート率が変わり始めます。顧客の購入履歴・閲覧履歴を確認できる環境を整えておくことで、将来的なLINE施策やメルマガ施策の基盤になります。
- 購入時のメールアドレス収集が顧客データ活用の起点になる
- 購入後3日・7日・30日のステップメールを設計して自動化する
- ShopifyやBASEには自動メール機能が標準で備わっている
- ステップメールの設定だけでリピート率に変化が出始める
- 購入履歴の蓄積がLINEやメルマガ施策の基盤になっていく
ステップ5 月次でデータを確認して改善サイクルを回す
EC事業は設計して終わりではなく、数字を見ながら改善を続けることで初めて成長します。月1回、訪問者数・CVR・客単価・リピート率の四つを確認し、前月と比べてどこが変化したかを把握します。集客施策の効果が出ているか・ステップメールの開封率は上がっているか・どの商品が売れているかを確認することで、次の月に何を改善すべきかが見えてきます。月次の確認が習慣になると、改善の優先順位を迷わず決められるようになります。改善サイクルが回り始めると、EC事業は伸びやすくなります。
- 月1回の数字確認を習慣化して改善の根拠を作る
- 訪問者数・CVR・客単価・リピート率の4指標を毎月見る
- 集客施策とステップメールの効果を数字で確認する
- 売れている商品と離脱が多いページを毎月特定する
- 改善サイクルが回ると月商は伸びやすくなる
売れない商品ページを直す具体例|対面の説明をページに移す
4つの原因の中でも、商品ページは今日から手をつけやすく、効果も見えやすい部分です。ここでは「売れない商品ページ」が「売れるページ」にどう変わるのかを、対面の説明をページに移す考え方で見ていきます。特別なツールは要らず、今のカートシステムの商品ページを書き換えるだけで始められます。
売れない商品ページによくある状態
売れない商品ページは、商品名・価格・数行の説明・写真1枚という構成になっていることが多いです。実店舗や卸では店員や営業が口頭で価値を伝えられますが、ECではその説明がまるごと抜け落ちます。買う側は「自分の使い方に合うのか」「他の商品と何が違うのか」「届いたあとどう使うのか」が分からず、判断できないまま離れていきます。アクセスはあるのに売れない、という状態の多くはここが原因です。
- 説明文が数行しかなく、判断する材料が足りない
- 写真が1枚だけで、使う場面が伝わらない
- 他の商品との違いが書かれていない
- 対面で伝えていた説明がページに載っていない
対面の説明を移した「売れるページ」の形
直し方はシンプルです。営業や店員がふだん口頭で伝えている内容を、そのまま文章と写真でページに並べます。「どんな悩みを持つ人に向くか」「他とどう違うか」「素材・サイズ・使い方」「届いたあとの利用イメージ」「よくある質問」を順に足していきます。
写真も1枚ではなく、使う場面・細部・比較が分かる複数枚にします。こうすると、買う側は対面で説明を受けたときに近い情報量で判断でき、問い合わせをしなくても購入まで進みやすくなります。
- どんな悩みの人に向くかを最初に書く
- 他の商品との違いを具体的に説明する
- 素材・サイズ・使い方などの条件を明記する
- 使う場面が分かる写真を複数枚載せる
- よくある質問を先回りで載せて不安を減らす
どの商品ページから直すか
全商品を一度に直す必要はありません。まずアクセスが多いのに売れていない商品、次に利益率が高い主力商品の順で選ぶと、同じ手間でも効果が出やすくなります。一度型ができれば、ほかの商品ページにも同じ構成を広げられます。月に数点ずつでも、売れ筋から順に整えていくことが現実的な進め方です。
- アクセスが多いのに売れない商品から直す
- 次に利益率の高い主力商品を整える
- 一度作った構成をほかの商品に広げる
よくある質問
EC事業設計の話をすると経営者からよく出る疑問があります。以下に代表的な三つを取り上げ、構造的に答えます。
専任担当者がいなくてもEC事業は設計できますか
できます。ただし「人が動かし続ける運用」ではなく「仕組みが動く設計」にする必要があります。専任担当者がいないことを前提に、SNS投稿の月次スケジュール・自動ステップメール・月1回の数字確認フローを設計すれば、社長や兼務スタッフが週2〜3時間を使うだけで回せる体制を作ることは可能です。ただしその仕組みの「初期設計」には専門的な視点が必要なため、EC支援会社などの伴走サポートを活用することが現実的です。
- 人に依存しない仕組みを設計することで担当不在を補える
- 週2〜3時間で回せる運用フローを最初に設計することが重要だ
- 初期設計には専門的な視点が必要なため外部サポートが現実的だ
- 担当者がいないことは課題であっても諦める理由にはならない
- 仕組みとして動くことが中小企業のEC継続の鍵になる
制作会社への発注とEC支援会社への依頼は何が違いますか
制作会社は「サイトを作ること」を専門としています。デザイン・コーディング・システム構築が主な業務であり、納品後の運用や事業設計は通常業務の範囲外です。一方EC支援会社は「EC事業を機能させること」を目的としており、制作・運用・改善・戦略設計をまとめて担当します。EC事業設計そのものがない状態であれば、制作会社への発注だけでは問題は解決しません。「作ること」と「事業として動かすこと」は別のサービスです。
- 制作会社は作ることを専門とし納品後の運用は範囲外になる
- EC支援会社は制作から運用・改善・戦略設計まで担当する
- 事業設計がない状態では制作会社への発注だけでは解決しない
- 作ることと事業として動かすことは別のサービスになる
- 自社にEC設計があるかどうかで依頼先の選択が変わる
ECサイトを作り直せば売上は伸びますか
作り直しが必要な場合もありますが、作り直すだけで売上が伸びるとは限りません。課題がデザインの古さなのか、商品ページの情報不足なのか、運用の体制がないことなのかで、必要な対応は変わります。数年前に作ったサイトでも、主力商品の説明が十分で、更新の流れが整っていれば改善の余地はあります。
大切なのは見た目の新しさではなく、改善を続けられる状態になるかどうかです。原因を整理しないまま作り直すと、同じ停滞を繰り返しやすくなります。まずはこの記事の4つの原因のどこに当てはまるかを確かめてください。
- 作り直すだけで売上が伸びるとは限らない
- 課題がデザイン・商品ページ・運用体制のどこかを先に見極める
- 改善を続けられる状態になるかどうかで判断する
まとめ:EC月商の停滞は「施策の問題」ではなく「設計の問題」
EC月商が30万円前後で止まる中小メーカーに共通するのは、「施策が足りない」のではなく「EC事業の設計が存在しない」という構造問題です。サイトを制作しただけでは事業は始まっていません。集客・接客・リピートの三構造を設計し、それが担当者の有無にかかわらず継続して動く仕組みにして初めて、EC事業として機能し始めます。放置すれば卸依存・実店舗依存の構造はより固定化され、競合との差は広がります。中小メーカーのEC構築全体の設計方法については、こちらもあわせてご覧ください。
あわせて読みたい中小メーカーのECサイト構築ガイド|始め方・選び方・構築の流れと売上の育て方自社ブランドを持つ中小メーカーが、ECサイトを作って売上を育てるまでの手順を解説します。始める前に決める5つのこと、プラットフォームの選び方…
今すぐ始められる確認ポイント
まず現状のEC構造を数字で診断するところから始めてください。月間訪問者数・CVR・客単価・リピート率の四つを確認するだけで、問題の所在が集客なのか接客なのかリピートなのかが見えてきます。そこから設計の優先順位が決まり、5ステップを正しい順番で積み上げることができます。
- まず月間訪問者数・CVR・客単価・リピート率を確認する
- 集客・接客・リピートのどこが空白かを特定する
- 集客施策を一つだけ選んで3ヶ月間集中して動かす
- 購入後のステップメールを設定してリピート率を改善する
- 月次の数字確認を習慣化して改善サイクルを回し続ける
公開後の運用・改善まで伴走|サブスク型のECサイト構築
ウィルサポECは、ECサイトの構築から保守・更新までを月額でまとめて支援するサブスク型サービスです。ECサイトは「作って終わり」ではなく、公開後の更新・改善が成果を左右します。運用と改善を前提にした設計で、ECを無理なく育てていける体制づくりをサポートします。新規立ち上げはもちろん、既存ECのリニューアルにも対応可能です。
- テンプレートに頼らないフルオーダーのオリジナルデザイン
- Shopifyでの構築・設定に対応(商品登録・決済・配送)
- 公開後の更新・保守まで月額に含めて対応
- 運用と改善を前提にしたEC設計
- EC専任の担当がいなくても運用が止まらない
この記事の著者
高橋 竜也|合同会社ウィル 代表
BtoBマーケティングの現場経験10年以上、Web制作の現場経験7年以上。SaaS企業でリード獲得施策・MA運用・インサイドセールスのマネジメントを経験。福岡・博多を拠点に、BtoB中小企業の営業基盤づくりを支援。
